医療コラム

東野圭吾さんの訃報に寄せて〜大腸がん検診の「便潜血陽性」、放置していませんか〜
こんにちは。埼玉県さいたま市浦和駅西口 ミモザクリニック院長です。
今年の7月、日本を代表する作家である東野圭吾さんが大腸がんのためお亡くなりになりました。『白夜行』や『手紙』など数々の名作を残され、私自身も『魔女と過ごした7日間』を読んだばかりでした。「まだまだ東野圭吾さんの新しい作品を読みたかった」と、いちファンとして残念でなりません。心よりご冥福をお祈りいたします。
この悲しいニュースに触れ、消化器内科、内視鏡を専門とする医師として、皆様にどうしてもお伝えしたいことがあります。それは「大腸がん検診の大切さ」についてです。

日頃から患者様とお話ししていると、「乳がんや子宮頸がんは心配だから毎年検診を受けている」という女性は非常に多くいらっしゃいます。女性の罹患数(新たにがんになる人数)が最も多いのは確かに乳がんですが、実は女性のがんによる死亡原因の第1位は「大腸がん」だということをご存知でしょうか。(※厚生労働省 人口動態統計より)
なぜ、大腸がんで亡くなる女性が多いのでしょうか。その大きな理由の一つに「検診や精密検査の受診率の低さ」が挙げられます。 大腸がん検診(便潜血検査)や、その後の大腸カメラ(内視鏡検査)に対して、「痛そう」「恥ずかしい」「下剤を飲むのがつらい」「便秘気味だから便を採るのが難しい」といったマイナスイメージや恐怖心から、つい受診を後回しにしてしまう方が多いのが現状です。
大腸がんの最も恐ろしいところは、初期段階では「自覚症状がまったくない」ということです。 血便、便秘と下痢を繰り返す、便が細くなる、原因不明の体重減少や貧血……こうした症状に気づいてから病院を受診した時には、すでにがんが進行してしまっているケースも少なくありません。 症状がないうちに病気の芽(大腸ポリープなど)を見つけ出すために存在するのが、健康診断で行われる「便潜血検査(検便)」です。これは、目に見えないほどの微量の血液が便に混じっていないかを調べる、非常に簡便で優れた検査です。
健康診断の便潜血検査で「陽性」と判定された場合、腸のどこかから出血しているサインです。大腸がんや、将来がん化するリスクのある「大腸ポリープ」が隠れている可能性があるため、必ず大腸内視鏡検査による精密検査(要精査)が必要になります。
しかし、大腸がん検診における最大の問題点は、「便潜血検査で陽性になっても、実際に精密検査を受ける方の割合(精査受診率)が低い」ということです。「たまたま痔が出血しただけだろう」「去年は陰性だったから大丈夫」「二回のうちの一回だけが陽性だからたまたまだと思う」と自己判断して放置してしまうのは、命に関わる非常に危険なサインを見逃すことにつながります。2回のうち1回でも陽性が出たならば、それは立派な「要精査」のサインなのです。大腸がんは早期に発見できれば、決して治らない病気ではありません。さらに、大腸カメラで「ポリープ」の段階で見つけて切除してしまえば、大腸がんそのものを「予防」することもできるのです。
「内視鏡検査が怖い、恥ずかしい」という女性の皆様の心理的・身体的な負担を少しでも和らげるため、当院では以下の体制を整えています。
便潜血検査で「陽性」という結果が出た方は、どうか怖がらずに、お早めに消化器内科の外来受診の予約を入れてください。また、40歳を過ぎてまだ一度も大腸カメラを受けたことがない方も、ご自身の命と健康を守るために、ぜひ一歩を踏み出していただければと思います。 皆様の健康は、ご自身だけのものではありません。ご家族や大切な方々のためにも、自分の体を労わる時間をぜひ作ってください。
当院はWEB予約やWEB問診など、受診の手間をできる限り減らす工夫も取り入れております。気になる症状や不安なことがありましたら、いつでも当院にご相談ください。