医療コラム

初夏に増える感染性腸炎
こんにちは、埼玉県さいたま市浦和駅西口 ミモザクリニック院長です。
当院は、女性の検査のハードルを下げることをコンセプトにし、女性の患者様にリラックスして受診いただける空間づくりを大切にしています。
梅雨から初夏へと季節が移り変わるにつれ、最近、当院でも胃腸炎で受診される方がちらほらみられるようになりました。中には、「焼き鳥」や「自家製の鶏ハム」などを食べた後に激しい腹痛や下痢に見舞われ、『カンピロバクター腸炎』と診断される方も来院されています。
これからの季節は、気温と湿度が上がり、細菌が繁殖しやすくなる時期です。今回は、急なお腹のトラブルの原因として多い「感染性腸炎(特に細菌性)」について、わかりやすく解説します。
感染性腸炎は、細菌やウイルスなどの病原体が腸の中に侵入し、増殖することで発症する病気です。 主に食べ物や水から感染する「食中毒」が多いですが、人やペットから感染することもあります。夏場は「細菌性」、冬から春にかけては「ウイルス性(ノロウイルスなど)」が多く発生します。
・診断には詳しい問診が重要です。症状とその発現時期、食べたものと食べた時期、まわりの人に同じ症状が出た方はいないのか、最近の旅行歴(特に発展途上国)、最近の抗菌薬使用歴、基礎疾患の有無などをきいて判断していきます。
・細菌性腸炎の確定診断は便や腸液を培養して検出します。結果がわかるまで数日必要です。培養の陽性率はあまり高くないこと、時間がかかることからクリニックでは、必ずしも検査を行うわけではありません。
① 病原菌の潜伏期:食品摂取から症状が出るまでの時間
※左右にスクロールが出来ます
潜伏期 |
病原微生物 |
1~6時間 |
黄色ブドウ球菌 セレウス菌(嘔吐型) |
8~14時間 |
腸炎ビブリオ エロモナス ウェルシュ菌 |
8時間~48時間(2日) |
サルモネラ |
12時間~3日 |
腸管毒素原性大腸菌 |
12時間~48時間(2日) |
ノロウイルス |
2~3日 |
ロタウイルス |
1~5日 |
コレラ菌 細菌性赤痢 |
2~8日 |
腸管出血性大腸菌 カンピロバクター |
10~14日 |
腸チフス菌 パラチフス菌 |
2~3週 |
アメーバ赤痢 |
② 原因となる食品と病原性微生物
※左右にスクロールが出来ます
原因食品 |
病原微生物 |
鶏肉 |
カンピロバクター サルモネラ |
鶏卵 |
サルモネラ |
牛肉 |
腸管出血性大腸菌 サルモネラ |
豚肉 |
エルシニア サルモネラ カンピロバクター |
魚介類 |
腸炎ビブリオ エロモナス |
二枚貝 |
ノロウイルス |
アジ、サバ、イカなど |
アニサキス |
ホタルイカ |
旋尾線虫 |
これからの時期に特に気をつけていただきたい、代表的な3つの細菌について詳しくご紹介します。
・カンピロバクターは、夏季を中心に多発する散発性感染性胃腸炎、胃腸炎集団発生および食中毒の主要な原因細菌です。
・原因となる食べ物: 生や加熱不十分な鶏肉(焼き鳥、鶏刺し、鳥わさ、自家製鶏ハムなどの加熱不足)、豚肉、牛肉など
・特徴と症状: 食べてから発症するまでの「潜伏期間」が2〜7日と少し長めなのが特徴です。「数日前に食べたお肉が原因だった」と気づかないことも。発熱、倦怠感、頭痛から始まり、その後に激しい腹痛や水のような下痢(時には血便)が起こります。
・予防のポイント: カンピロバクターは、冷蔵または冷凍温度下でも長期間生存し続けますが、加熱(75℃以上、1分以上。中まで食肉の色が変わるのが目安)することにより死滅します。鶏肉を調理する際は、中心部までしっかり火を通すことが最も重要です。新鮮であっても菌は付着しているため、生食は避けましょう。
古くから知られる、身近な食中毒の原因菌です。
・原因となる食べ物: 生卵、オムレツなどの加熱不十分な卵料理、お肉類。また、ペット(ミドリガメなどの爬虫類や犬猫)からの感染も知られています。
・特徴と症状: 潜伏期間は比較的短く、食後8〜48時間で発症しますが、3~4日かかっての発症もみられます。吐き気、嘔吐、腹痛、下痢(水様便)、血便、38℃以上の発熱など、急激に強い症状が出ることが多いです。
・予防のポイント: 卵は購入したらすぐに冷蔵庫へ入れ、割った状態で放置しないこと。お肉類は中までしっかり加熱しましょう。卵や生肉、ペットを触った後は、念入りに手洗いをしてください。
非常に強い毒素(ベロ毒素)を出し、重症化しやすい恐ろしい菌です。
・原因となる食べ物: 加熱不十分な牛肉、牛レバー、生肉に触れた調理器具からうつった生野菜など。
・特徴と症状: 潜伏期間は3〜8日です。はじめは水のような下痢と軽い腹痛ですが、進行すると激しい腹痛とともに「真っ赤な血便」が出ます。非常に感染力が強く、わずかな菌でも発症します。重症化すると、腎機能が低下するHUS(溶血性尿毒症症候群)などを引き起こす恐れがあり大変危険です。
・予防のポイント:お肉、特に牛肉やひき肉料理(ハンバーグなど)は中心部まで完全に火を通すこと。BBQや焼肉では、生肉をつかむトングや箸と、食べる箸を必ず分けましょう。

急な胃腸炎症状が出た場合、当院では以下のようなポイントに気をつけて診療を行っています。
急激な腹痛や血便、止まらない下痢などがある場合は、我慢せずに早めにご相談ください。下痢が続き、水分が取れない場合は、入院の適応になりますので、早めの受診をお願いします。
当院は女性の患者様にとってハードルの低い、安心できる環境づくりを心がけています。WEB問診を導入しておりますので、おつらい時でも事前にスマートフォン等からご入力いただくことで、院内での待ち時間を減らしスムーズに受診していただけます。ご不安な症状があれば、どうぞお気軽にご来院ください。