医療コラム

胸やけや喉の違和感――「胃食道逆流症」について
こんにちは。埼玉県さいたま市浦和区浦和駅西口ミモザクリニック院長です。
当クリニックは、働く女性や、ご家族のために日々忙しくされている女性たちが、ご自身の体を労わる場所でありたいと考えています。私たちが掲げる「検査のハードルを下げる」という目標は、決して安易に検査を勧めることではありません。漠然とした不安を「正しい安心」に変えるために、医学的根拠に基づいた情報を丁寧にお伝えしていきたいと思っています。
今回は、現代の日本人にとって非常に身近な疾患である「胃食道逆流症」について、日本消化器内視鏡学会の見解を交えながら解説いたします。
胸のあたりがジリジリと焼けるような感じ(灼熱感)や、酸っぱいものが込み上げる「呑酸(どんさん)」。こうした症状を総称して「胃食道逆流症」と呼びます。
最新の報告によると、現在日本人の15〜20%がこの症状に悩まされていると言われています。かつては欧米に多い病気とされていましたが、食生活の変化や加齢、ストレスなどにより、今や私たちの日常に深く関わる疾患となりました。
症状は「胸やけ」だけではありません。
これらはすべて、胃酸が食道へ逆流し、粘膜を刺激することで起こり得ます。特に家事や仕事で忙しい世代の女性は、知らず知らずのうちにこれらのサインを「いつものこと」と見過ごしてしまいがちです。
「症状があるから、とりあえず市販薬で」と済ませてしまう前に、私たちが内視鏡検査(胃カメラ)をお勧めするのには、医学的な理由があります。
実は、胸やけを感じる方の約60〜70%は、内視鏡で見ても粘膜に明らかな「ただれ(びらん)」が見られない「非びらん性胃食道逆流症」であることがわかっています。一方で、粘膜が激しく炎症を起こしている場合や、「食道裂孔ヘルニア(胃の一部が胸の方へ飛び出している状態)」が原因となっている場合もあります。
内視鏡検査の最大の役割は、以下の3点を確認することです。
逆流性食道炎の治療は、現在生活習慣の改善と内服薬で良好なコントロールが得られることが多くなっています。

医療は常に進化していますが、現時点でもすべてが解明されているわけではありません。
例えば、「なぜ胃酸の逆流がないのに胸やけを感じるのか」という点については、食道の粘膜が過敏になっている可能性(知覚過敏)が指摘されています。カプサイシンのような辛い物、刺激物に対する感受性の高まりなどもいわれており、辛い物は控えることをおすすめしています。
逆流性食道炎は良性の疾患ですが、放置して症状を我慢し続けることは、食事が楽しめない、安眠できないといった、日常生活の質の低下に繋がります。また、慢性的な炎症は食道の粘膜を変質させ、将来的なリスクを招く可能性も否定できません。
忙しい日常を健やかに過ごしていただくために、「この程度の症状で相談してもいいのかしら」と思わず、どうぞお気軽に受診されることをお勧めします。
<参考文献>
日本消化器内視鏡学会「消化器内視鏡Q&A:胸やけ(逆流性食道炎)の原因は内視鏡でわかりますか?」
日本消化器病学会編『胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2021』