
ノロとロタ胃腸炎
こんにちは、埼玉県さいたま市浦和駅西口 ミモザクリニック院長です。
寒い冬が終わりを告げ、少しずつ春の足音が聞こえてくるこの季節。実は、お腹の風邪、いわゆる「感染性腸炎(ウイルス性腸炎)」が猛威を振るう時期であることをご存知でしょうか。
「冬さえ乗り切れば大丈夫」と思われがちですが、ロタウイルスのように春先にかけて流行のピークを迎える病原体も存在します。今回は、特に20代〜60代の女性の皆さんに知っておいていただきたい、ウイルス性腸炎の知識と予防・対処法について詳しく解説します。
1. 感染性腸炎とは?冬から春に多い「ウイルス性」の特徴
感染性腸炎とは、細菌やウイルスなどの病原体が腸に入り込み、増殖することで下痢や腹痛を引き起こす病気です 。
季節によって流行する原因菌が異なるのが特徴で、夏季には「細菌性腸炎」が多く、冬から春にかけては「ウイルス性腸炎」が多く発生します。
- ウイルス性腸炎の二大巨頭:ノロとロタ
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- ノロウイルス:冬季を中心に流行。非常に感染力が強く、食中毒の最大の原因でもあります。
- ロタウイルス:冬から春(まさに今!)にかけて流行する、乳幼児に多いウイルス。しかし、大人が感染しないわけではありません 。
2. 春先に注意!「ロタウイルス」の特徴と症状

ロタウイルスは、5歳までにほぼすべての子どもが感染すると言われるほど一般的なウイルスですが、実は非常に厄介な性質を持っています 。
- • 主な症状: 発熱、腹痛、嘔吐を伴う激しい下痢が約1週間続きます。
- • 便の特徴: 下痢は水様で、時に「白色」になるのが大きな特徴です。
- • 大人の感染: 年長児や成人が感染した場合は、無症状や軽症で済むことが多いですが、体力が低下している場合や、看病を通じて大量のウイルスを摂取した場合は発症することもあります。
ロタウイルスは症状が重くなりやすく、高度の脱水症状に陥りやすいため、特に小さなお子様がいるご家庭では、春先まで厳重な警戒が必要です。
3. 「吐き気」が強い?ノロウイルスとの違い
同じウイルス性腸炎でも、ノロウイルスは少しタイプが異なります。
- • ノロウイルスの特徴: 悪心(吐き気)や嘔吐が非常に強く、水様性の下痢を伴います。
- • 潜伏期間:12時間~2日と短期間で発症します。
- • 感染経路:カキなどの二枚貝の過熱不十分な摂取だけでなく、調理従事者や家族からの「ヒトからヒト」への感染も非常に多いのが特徴です。
4. 病院へ行くタイミングと診断
「ただの下痢だから」と放置していませんか?特に以下のような症状がある場合は、早めに当院(ミモザクリニック)またはお近くの医療機関を受診してください。
- 受診の目安
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- • 激しい腹痛や高熱を伴う場合。
- • 血便が出た場合(細菌性腸炎や他の疾患の可能性があります)。
- • 1日に10回以上の下痢がある場合。
- • 水分が全く摂れず、尿が出ないなどの脱水症状がある場合。
- 診断の方法
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診断には、いつからどのような症状があるか、家族に同様の症状の人がいるか、何を食べたかなどの問診が非常に重要です 。ウイルス性腸炎の確定診断には、吐物や便からウイルス特異的な物質を検出する検査が必要ですが、大人の場合、この検査は保険適応となりませんので、当院では行っておりません。いずれもウイルスであっても、治療法は同じであることから、ウイルス検査の確定診断は必要ないと考えています。
5. 治療の基本は「出す」ことと「補う」こと
感染性腸炎は、基本的には自然に治る(自然治癒傾向が強い)疾患です 。そのため、無理に薬で止めるよりも、体内のウイルスを出し切りつつ、失われた水分を補う「対症療法」が中心となります。
- • 下痢止めは原則NG: 下痢止めは腸内の毒素やウイルスの排出を遅らせてしまう可能性があるため、自己判断での服用は避けましょう。
- • 整腸剤の活用:腸内細菌のバランスを整えるために、乳酸菌製剤などが処方されることがあります
- • 水分補給(点滴):できるだけ、水分を取りましょう。スポーツドリンクや缶詰のくだものなどがおすすめです。脱水がひどい場合には、点滴による輸液が必要です。
6. 家庭でできる最強の予防策
ウイルス性腸炎を広げない、かからないためには、日々のちょっとした習慣が大切です。
- 1. 手洗いの徹底:外出後や調理前、トイレの後は石鹸でしっかり手を洗いましょう。
- 2. 次亜塩素酸ナトリウムでの消毒:ノロウイルスなどのウイルスには、アルコール消毒が効きにくい場合があります。汚染された場所の消毒には、薄めた次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤など)が有効です。
- 3. 加熱調理:二枚貝などは、中心部までしっかり加熱(85℃・1分間以上)しましょう。
- 4. ワクチンの検討: ロタウイルスに関しては、現在は定期接種となっている生ワクチンがあります。重症化を予防する効果が非常に高いため、対象の乳幼児がいるご家庭は必ず確認しましょう。
7. まとめ
春先は環境の変化も多く、免疫力が下がりやすい時期です。「冬が終わったから」と油断せず、正しい知識を持ってウイルス性腸炎から家族と自分自身を守りましょう。
ミモザクリニックでは、急な腹痛や下痢、嘔吐でお困りの方の診療を行っております。「これって食中毒?」「子供の下痢がうつったかも……」と不安な時は、我慢せずにお気軽にご相談ください。消化に良い食事のアドバイス、整腸薬処方など、症状に合わせて治療を提案いたします。