
大腸カメラ検査、次はいつ受ければいい? 〜最新ガイドラインに基づく「適切な間隔」と「検査前後の過ごし方」〜
こんにちは、埼玉県さいたま市浦和駅西口ミモザクリニック院長です。外来診療の中で、大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)を終えた患者様から最も多くいただくご質問があります。それは、「先生、次はいつ受ければいいですか?」というものです。
「毎年受けたほうが安心」とおっしゃる方もいれば、「下剤を飲むのが大変だったから、できれば長くあけたい」とおっしゃる方もいます。実は、この「検査の頻度」には、日本消化器内視鏡学会が定めた明確なガイドライン(指針)が存在します。
今回は、最新の知見に基づいた「適切な検査間隔」に加えて、検査をより安全・正確に受けるための「前後の注意点」や「費用」について、専門医の視点から詳しく解説します。
1. なぜ「毎年」受ける必要がない場合があるのか?
まず知っておいていただきたいのは、大腸がんの多くは「腺腫(せんしゅ)」と呼ばれる良性のポリープが、数年という長い年月をかけてゆっくりとがん化していくという性質です。
胃がんなど他の消化器がんと比較しても、大腸がんは進行が比較的緩やかであるため、一度「きれいにリセット(全ポリープの切除や異常なしの確認)」ができれば、翌年にいきなり進行がんが見つかるリスクは極めて低いのです。
そのため、ガイドラインでは前回の検査結果に応じた「サーベイランス(追跡調査)」の間隔を推奨しています。
2. 【状況別】次回の検査はいつがベストか
最新の指針に基づいた、お勧めされる検査間隔は以下の通りです。

★日本消化器内視鏡学会ウェブサイトより引用(https://www.jges.net/citizen/faq/large-intestine_04)★
- ① 初回の検査で「異常なし」だった場合
- 初めての大腸カメラで、ポリープもがんも見つからず、腸の粘膜が非常にきれいだった方。この場合、次回の検査は「3年~5年後」で良いとされています。ただし、その間に肉眼的血便や、下痢や腹痛が頻回におこるといった場合は、例外となります。潰瘍性大腸炎などの病気を発症した可能性もあるため、病院を受診し、次の検査を早めに受けることをお勧めします。
- ② 小さなポリープ(10mm未満)を1~2個切除した場合
- 検査時に見つかった小さなポリープをその場で切除した方は、「3年後」の再検査が目安です。切除によって「がんの芽」が摘み取られた状態ですので、過度に心配する必要はありませんが、新しいポリープができやすい体質である可能性を考慮し、3年というスパンでチェックします。
- ③ 「ハイリスク」と判断される場合
- 以下に該当する方は、「1年後」の再検査が強く推奨されます。
- 3個以上のポリープを切除した方
- 20mm以上の大きなポリープを切除した方(取り残しのリスクや、再発率が高いため)
- がんの一部が含まれていたポリープを切除した方
これらの方は、大腸がんが発生しやすい「土壌」を持っていると考え、厳重な経過観察が必要です。
3. 検査を「成功」させるための準備と注意点
検査の間隔を正しく守るのと同様に大切なのが、「1回の検査の質をいかに高めるか」です。精度の高い検査を行うためには、患者様のご協力が欠かせません。
- 検査前日の過ごし方
- 大腸の中に便が残っていると、小さなポリープが隠れてしまい、見落としの原因になります。
- 食事の制限:前日は、繊維質の多いもの(野菜、きのこ、海藻、こんにゃく)や、種のある果物(キウイ、スイカなど)を避けてください。消化の良いうどんや白米、豆腐などが理想です。
- 下剤の服用:指定された時間に下剤を服用しましょう。当日の前処置の程度に影響します。
- 当日の注意点
- 鎮静剤(眠くなる薬)を使用して検査を行う場合、当日はご自身での車・バイク・自転車の運転は厳禁です。薬の影響で判断力や反射神経が鈍るため、思わぬ事故を招く恐れがあるからです。公共交通機関を利用するか、ご家族に送迎を依頼してください。
- 検査後の生活
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- お食事:観察のみの場合はすぐに食事が可能ですが、ポリープを切除した場合は、当日の夕食は消化の良いものを少量にし、数日間はアルコールや刺激物を控えていただく必要があります。
- 運動・旅行:ポリープ切除後は、1週間程度、激しい運動や重いものを持つ仕事、遠方への旅行・出張などは控えてください。これは切除部位からの出血を防ぐためです。
4. 気になる「検査の費用」について
受診を迷われる要因の一つに「費用」があるかと思います。3割負担の場合の一般的な目安をご紹介します。
- ① 観察のみ(検査のみ)の場合
- 約5,000円〜7,000円前後 お薬(鎮静剤)の使用や、病理組織検査(怪しい部分を一部つまんで調べる検査)の有無によって前後します。
- ② ポリープを切除した場合(日帰り手術)
- 約20,000円〜30,000円前後 ポリープの数や大きさ、手術の術式によって変動します。なお、ポリープ切除は「手術」に該当するため、ご加入の民間保険(医療保険)の手術給付金の対象になることが多くあります。
※初診料、事前検査(採血など)、下剤などの薬剤費が別途かかります。
5. ミモザクリニックのこだわり:負担を抑えた精密検査
当院では、がんの見落としリスクを最小限に抑え、かつ患者様が「これならまた受けてもいい」と思える検査を目指しています。
- 最新の内視鏡システム:富士フィルムの最新の内視鏡システムELUXEO8000と、スコープは拡大観察可能なEC-760ZPを採用しています。
- 炭酸ガス(CO2)の使用: 検査中にお腹を膨らませるガスに炭酸ガスを使用します。空気よりも吸収が数百倍早いため、検査後のお腹の張りがすぐに解消されます。
- 苦痛の少ない挿入法: 腸を無理に伸ばさない「軸保持短縮法」という技術と、適切な鎮静剤の併用により、眠っている間に検査を終えることが可能です。
結びに:あなたにとっての「最適な間隔」を見つけましょう
大腸がんは、適切な頻度で内視鏡検査を受け、ポリープのうちに切除すれば、ほぼ100%治すことができる「防げるがん」です。しかし、検査は下剤を飲むのも大変で、足が遠のく方も多いと思います。
やみくもに毎年検査を受ければ良いというわけではなく、ご自身の腸の状態を知り、正しい間隔で、正しい準備をして受け続けることが大切です。まだ、一度も検査を受けたことのない方、だいぶ前にポリープを切除したまましばらく検査を受けていない方、この機会に、一度大腸カメラ受けてみませんか。